なぜじっくり焙煎したコーヒーはより美味しく感じられるのでしょうか
執筆 Bacha Coffee | 3 分 | コーヒー豆知識
職人の焙煎技術が、一杯ごとのアラビカコーヒーにより豊かで奥行きのある風味をもたらす理由をご紹介します。

バシャコーヒーにおいて焙煎とは、芸術であり科学でもあります。
精密さ、情熱、専門知識、そして忍耐をもって、それぞれの収穫が持つ個性を引き出し、豆本来の魅力を最大限に引き出す焙煎方法を見極めます。
マラケシュで長年にわたり磨き上げてきた、職人による少量ずつのスローロースト。その技術により、200種類の100%アラビカ・スペシャルティコーヒーそれぞれに最適な焙煎レシピが生み出されています。
こうした丁寧な職人技によって、太陽、土壌、そして雨という自然の恵みが育んだ豆の個性が、一杯のコーヒーの中に表現されるのです。
バシャコーヒーのスローローストは、時間も手間もかかります。しかし私たちは、それこそがコーヒー豆に秘められた最高の風味を引き出す唯一の方法であると確信しています。
焙煎の基礎 コーヒーの風味に影響を与える要素は数多くありますが、その中でも焙煎は特に重要な工程です。
アラビカの豆は焙煎されることで形状が変化し始めます。
豆が最適な状態に達したかを見極めるには、芸術と科学の両方の感覚が必要です。優れたコーヒーマスターは、次のようなサインを見て判断します。
・豆がはじける音
・色の変化
・適切な温度に達しているか
・香り

新しい風味が生まれる瞬間
それぞれのコーヒー豆には、栽培された土地に由来する多様で繊細な風味が秘められています。実際、未焙煎の生豆には約80種類の風味が確認されています。
焙煎の過程では熱によって新たな風味が生まれます。豆に含まれる糖分とアミノ酸が反応するメイラード反応によって、複雑な香りと味わいが生み出されるのです。
さらにこのカラメル化の過程を経ることで、コーヒーには800種類以上の風味が生まれることも知られています。
一般的に、焙煎が進むにつれて酸味は穏やかになり、焙煎が深くなるほど酸味は弱く感じられる傾向があります。
焙煎は、豆の中に風味を閉じ込めるため、最適なタイミングで止める必要があります。
焙煎後、コーヒー豆は多くのCO₂を放出します。そのためコーヒー袋には、酸素の侵入を防ぎ鮮度と風味を保つためのワンウェイバルブが設けられています。
多くのコーヒー会社では、工業的な焙煎施設で400℃〜600℃という高温で2〜4分ほど焙煎する「ショックロースト」が行われています。
しかしこの方法では豆の外側が焼けるだけで、十分な時間をかけて風味や香りを引き出すことができません。
バシャコーヒーでは、200℃〜220℃の温度で14〜20分かけて焙煎します。
その後、少量の冷却水と冷却ファンを用いて、約2分かけて豆を丁寧に冷却します。
「少量ずつ行うスローローストは、工業的な焙煎方法よりも時間がかかり、その分コストも高くなります。しかしそれこそが、カップの中で現れるコーヒーの個性と風味を余すことなく引き出す唯一の方法なのです」
— バシャコーヒー コーヒー生産責任者 ルディガー・フライターグ
それぞれの豆に合わせたバシャコーヒーの焙煎
1世紀以上にわたり、バシャコーヒーはアラビカの焙煎を続け、
その奥深い特性を研究しながら、豆の持つ優雅な個性を引き出す
最適な方法を追求してきました。豆は伝統的なスローロースト技法により、ドラムロースターで低温焙煎されます。
それぞれのコーヒーには、長い時間と熟練の技術を要して生み出された専用の焙煎プロファイルがあります。これにより常に安定した品質が保たれます。豆が柔らかいほど、適切な焙煎プロファイルを見極めることは難しくなります。
例えばインドの
モンスーンシークレットコーヒー(Monsoon Secret Coffee)は、独特の製法で知られる特別なコーヒーです。
豆は8〜10週間モンスーンの湿った風にさらされた後に焙煎されます。わずかに膨らんだ形状となった豆は酸味が少なく、甘い香りとフルーティーでやさしいハーブのニュアンス、そして豊かなボディをもたらします。
一方、ケニアの
ブラックパールコーヒー(Black Pearl Coffee)は、
砕いたカカオを思わせるスパイシーなニュアンスを持つ個性的なマイルドコーヒーです。
これは希少なパールビーンズ(丸豆)から生まれます。コーヒーの木が栄養不足の状態にあるとき(通常は枝の先端など栄養が届きにくい場所)に、通常2つの豆ができるところ1つだけ形成される豆で、その丸い形から名付けられました。成長に時間がかかるものの、その希少性と力強さから高く評価され、バシャコーヒーのコーヒーマスターは特別な注意を払って焙煎しています。
それぞれのコーヒー品種に適した焙煎度があるため、バシャコーヒーでは収穫ごとに焙煎を分け、最高の品質を保っています。
技術が進化し焙煎技術が変化しても、バシャコーヒーの卓越性へのこだわりは、これからも伝統的なコーヒーづくりの芸術を称える姿勢とともに受け継がれていきます。
